「 ミロのヴィーナス 」
世界最高の美術館
フランス・パリにあるルーブル美術館を訪れた。


とにかく広い館内は迷路のようで
どの作品がどこに展示されているか分からず迷ってしまう。


歴史的な名画や美術品がズラリと並ぶルーブル美術館の中でも
看板作品は「モナリザ」と「ミロのヴィーナス」。
世界的に知られているこの二作品については別格扱いで、
至る所に「モナリザ」はこっちですよ〜 「ミロのヴィーナス」はこっちにありますよ〜
というような案内板が置いてある。


膨大な展示数なので、すべて見て回っていたら何日かかってしまうか分からない。
とにかく有名な作品だけでも、
しっかり見ておきたいと思う観光客の心理を汲み取っている。


やっとたどり着いた「ミロのヴィーナス」。


その前には、オレンジ色の帽子をかぶった小学生たちが座り込んでいた。
寝そべっている子供もいる。
本物のミロのヴィーナスに出会えた感動よりも、その光景に笑えた。
何をやってんだこいつらは・・・・?


よく見ると、どうやら何かの絵を描いているようだ。


手前の女の子三人に話しかけてみると、彼女たちは自分のノートを見せてくれた。
そこにはミロのヴィーナスの欠けている腕の部分を想像でスケッチした絵があった。
ミロのヴィーナスは
ギリシャ・ミロス島の農場で発掘された当初から腕の部分が欠けていて
腕の部分がどうなっていたのか?という議論は今も続けられているが
まだこれといった定説は見出されていない。


子供たちにとって、このスケッチは想像力を養う良い機会だが
幾多の時を超えて真実を求めようとする浪漫を理解するには
まだまだ無理あるだろう。


その女の子はオレに「腕の部分を書いてよ」とペンを渡してきたので
そのノートにピースサインをしたミロのヴィーナスを描いてあげた。
それがヒットしたらしくケラケラ笑っていた。




ミロのヴィーナスの腕の部分について、オレの個人的な意見としては・・・
二千年前の大理石作品なので
石が足りなかったんだよ、と思っていたが・・・


これを書いているうちに、腕はあったのだと思うようになってきた。
ミロのヴィーナスと同じように
ミロス島から出土したポセイドン像やアポロン像にも腕はある。


ではミロのヴィーナスは
どのような腕のポーズだったのだろう・・・




それはもう
想像することしかできない謎、
真実にたどりつくことはないであろう謎、


その謎が、欠けた腕の部分の謎が、


ミロのヴィーナスを魅力的にしているのだろう。
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